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2010年05月31日

小鼓の調べ作りに挑戦!

鼓たち.jpg
鼓打ちとして楽器がどの様に作られているのかを知らないのは恥ずかしいですし、自分の目で作業工程を見て、実際に作ってみたいと長い間思っていました。
なかなか機会が無かったのですが、念願叶い、先ずは調べ作りから学びたいと思います。

私が鼓を習い始めた頃の調べの質感と最近のものが違う様に感じていました。
勿論、調べにも幾つかランクがあるのですが、それだけの理由ではなく採れる素材自体がたった十数年の間でさえ変わってしまったのではないかと。

京都の山下慶秀堂さんの調べをいつも使わせて頂いていますが、今回初めて工房を訪ねました。
急にお電話したにも拘らず、快く迎え入れて下さったのは宗家5世家元、調べ緒作家の山下雄治さんと、頼もしいお弟子さん!(お名前を聞きそびれてしまいました・・・)


麻1.jpg
調べの素材は麻です。山下さんは栃木県の鹿沼のものを使われているそうですが、最近は中国のものも選んで使っていらっしゃるそうです。夏(7月頃)の時期に収穫して、水に浸しておき、腐る直前にすっと抜くと繊維が綺麗に取れるそうです。そうして乾燥したものがこの写真です。
半分に折って結わいてあるので実際にはこの倍の長さ、約150cm位あるそうです。麻ってそんなに大きくなるのですね!
この状態ではぱりぱりとした硬い感じです。


麻2.jpg
質の良いものを選んで、小分けにして水に浸します。柔らかくなったら機械で叩きまた水に浸します。この作業を1週間位繰り返すと、繊維もしなやかになって来ます。
再び乾燥させて、小鼓、大鼓、太鼓、大太鼓・・・とそれぞれ作りたい調べの太さに合わせて更に小分けにします。


綯う.jpg
端を釘に引っ掛けて、いざ調べを縒り始めます。調べは「綯う(なう)」と言うそうです。
左手に二本とも乗せて右手で押し出す様に滑らせます。
もうこの時点では麻は柔らかい繊維になっていました。


綯う 手元.jpg
奥の調べを手前のものと入れ替えて同様に手の上を滑らせて行きます。
綯っている途中、手の感覚で調べが細くなり始めたかなと思ったら、小分けにしている一束をジョイントして更に進めて行きます。一束は後ろの台にくるくると丸まっているものです。太鼓、大鼓は更にこの一束が太くなっていきます。
段々慣れて来てリズム良く進められる様になりましたが、繋ぎ目が難しく、上手に新しい所を包み込んで隠しながら一体化させていくのに苦労しました。

山下さんには「笑いながらやっているときの方が上手く出来ているね!」と励まして頂きながら・・・
あまり真剣になり過ぎると引っ張る力も強くなり、どんどん細くなってしまって却って良くないようです。

適度に手を湿らせながら綯っていくのですが、手の湿度は人それぞれですが体調にもよるようで、山下さんは調子の良い時には朝から分かるそうで、全く濡らさずとも自然と程良い手の湿度の日は、どんどんはかどるそうです。
私は度々湿らせていました・・・


完成.jpg
予想以上に時間が掛かりましたが、無事に完成しました!
結構頑張りましたね!!小さい頃から細かい作業をずっと続けている子供だったようで、こんな所でその性格が活かされるとは(^.^)


染め.jpg
お二階では午前中に染色された調べを干していらっしゃいました。
鮮やかな朱色ですね!!
私のも染めて送って下さるそうで、楽しみです。


調べ掛け.jpg
山下さんがお作りになられた調べを掛けさせて頂き、実際に打ってみました。
楽器を取るためにすっと調べに触れると、何とも言えない心地良さです。
しっとりとしていて、まるで絹の様なするっとした肌触りです。
思わず「気持ち良い〜!!!」と声を上げてしまいました。そんな感想は初めてだとか・・・
余りの気持ち良さに調子に乗って時を忘れて打ち続けていました。

小鼓は一音一音打つ度に、左手で調べを握ったり放したりして音色を変化させています。
皮の張力を調整している大切な役目を担う調緒。滑りが悪くては良い音を作り出すことが出来ません。

小鼓の中で、調べだけは新しいものを使います。
良い素材が無いと良いものをが作れないと仰っていた山下さん。疑問をぶつけてみると、矢張り在来種の栽培が規制されていて、品質が劣っていると残念そうに答えて下さいました。

19歳の時にたまたまお家に修理にいらしたのがきっかけで、先代に弟子入りし、5年後には師匠を亡くしてしまいますが、その後家元を継がれ様々な障害を克服しつつ素晴らしい調べを作り続けられてこられました。独立された兄弟子たちも廃業された方も数多くいらっしゃると伺い、心配したのですが、目下修行中?の頼もしいお弟子さんがいらしたので安心しました。しかも女性なので、益々嬉しく思います。
調べを作られる方が居なくなられては、鼓を打つことが出来ません。これからも磨き上げられた技術を伝承していかれる山下さんの目はとても輝いていらっしゃいました。

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